昨今のサービス活動の制限や顧客の経済活動への消極性により、収益源低下やリストラなどの失業リスクを受けている業界は多岐にわたります。
生活関連では飲食サービス業、宿泊業、観光・旅行業。娯楽関連では映画館や劇場、プロスポーツなどの興行、遊園地・テーマパークetc..
一方で介護業界はというと介護職特有の大変さはあるものの失業者はあまりないでしょう。むしろ慢性的な人手不足なので求人数は依然多く、需要の高い業界です。
他業種で失業した、または業績悪化でリストラや倒産があるかもと不安を抱えてる方には、業界経験者として介護業界への転職はおすすめできます。
しかし介護職への転職を考えている方の多くは、
- 介護業界って低賃金で重労働のイメージで気が進まない…
- 他業種から全く異なる仕事に転職してやっていけるか不安
- 介護職って実際のところ将来性あるの?
などの不安や疑問を抱えて、転職をためらっている人もいるはずです。
筆者は他業種から30代で介護職へ転職して、当時あなたと同じように不安を抱えていたのでよく分かります。
転職を後悔しないためには介護職へ転職する前に、メリット・デメリットをしっかり把握しておくことが重要です。
この記事があなたの後悔しない転職のきっかけになれば幸いです。
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他業種と比べた介護職のメリット・デメリット
他業種と比べて介護職に転職した際のメリット・デメリットを見ていきましょう。
介護職で働くメリット
- 業界自体の需要が高く、求人数が多い。希望の条件で職場を選びやすい
- 食いっぱぐれがほとんどない
- キャリアアップを目指せる
- 幅広い年齢層が働ける
- 介護の知識や技術は実生活にも活かせる
介護業界は需要が高い
介護業界は少子高齢化社会で需要が高く、その需要は今後もなくなりません。
そのため求人数も多く、自分の希望条件にあった職場を探しやすい環境といえます。いわば「売り手市場」です。というよりもはや「超売り手市場」といえます。
一方ほかの業界ではこうはいきません。基本的に採用側が条件を付け雇う人を選別する、「買い手市場」です。雇用側優位の買い手市場では、希望する条件での転職は簡単ではありません。
「買い手市場」では職場に不満があってもおいそれと転職はできません。つまり目に見えないプレッシャーやストレスが日々かかり続けているようなものです。
1つの職場で上手くいかなくてもやり直せる
求人数が多いということは、転職がしやすい環境にあるということです。そもそも希望の働きやすい条件で選べる上、転職のハードルも他業種に比べて低いです。
仮に今の職場で働くのが辛くなっても転職先は沢山あるので、食いっぱぐれはほぼないこともメリットです。仮に今の職場で人間関係などで上手くいかない場合でも心配いりません。介護職ならいくらでも再スタートが切れます。
あるとしたら介護業界うんぬんではなく、社会のルールを守れない場合くらいのものです。
介護職はキャリアアップが目指せる
転職理由には、
- 職場への不満
- 人間関係のストレス
- 体力的にきつい
などネガティブなものが多くなりがちですが、キャリアアップのために計画的に転職していくという手もあります。介護施設ごとに特色が異なるのでさまざまな職場を経験するのもキャリアアップの糧になります。
また国家資格の介護福祉士を取得後、一定の実務経験を積んでいけばケアマネジャーへの転職も視野に入ってきます。
現場経験→事務職や専門職へ移るというキャリアアップが可能なので、目指すなら早い段階から計画を立てることが重要です。
介護職は幅広い年齢層が活躍できる
介護の仕事は幅広い年齢層の方が働いてます。ほかの業界なら難しくなってくる、30代40代、それ以上の年齢からでも未経験で働き始められます。
他業種では30代40代から別の業界に転職し活躍できる仕事はなかなか見つからないのではないでしょうか?もしあったとしても介護職のように資格やキャリアアップが目指せるという条件がそろってる職は少ないはずです。
例えば不景気でも強いとされる業種にIT業界やゲーム業界が挙げられます。テレワークや巣ごもり需要ですね。
しかしいくらこの不況下でも強いといっても、全く異なる分野の仕事からこれらの業種に転職できるかといったら…正直厳しいです。
仮に転職できたとしても未経験から始め、専門家の中に混じり活躍するのはさらに難易度が高いですよね?30代40代からとなれば尚更です。
一方で介護職ならその年齢からでもスタートでき、キャリアアップも目指せます。もちろんキャリアアップするなら相応の努力は必須です。
未経験から介護職に転職を検討してるなら事前に知っておきたいこと
介護の知識や技術は実生活にも活かせる
介護職を通じて培った知識・介助技術は仕事以外の場面でも役立ちます。家族に介護が必要になった時、実際に介助をするかは別として知識は役立つ機会があります。
全介助は家庭内では無理でも、日常生活動作を支えることは介護の知識があれば可能です。
歩行介助・起き上がり介助・更衣介助など簡単なものができるだけでも、介助が必要になった家族の方には大きな助けになります。
身体介助以外にも認知症についての知識があれば関わり方がわかります。認知症の方への対応は知識がないと難しく、支える側の家族のストレスケアのためにも身に付けておきたい知識です。
仕事の知識や技術が普段の生活にも役立つことはそうないこと。介護職を辞めたとしても腐らないスキルが身に付くのはメリットの一つです。
介護職で働くデメリット
介護職のネガティブな面はというと、よく言われているのが4K(きつい・汚い・危険・給料が安い)です。
体力的にきつい
きついと感じることは人それぞれですが、身体介護は介護の仕事で切っても切り離せないことで腰を痛めたというのはよくある話です。
介助は腕力でやるものではありません。小柄な職員でも身体の力をうまく駆使すれば、腰を痛めずに大きな利用者様を支えたり移乗介助できます。
ボディメカニクスといって人体の力学的相互関係を活用した技術を理解すれば、自分や相手の身体に負担をかけずに身体介護ができるようになります。
介護の初歩的な資格の「介護職員初任者研修」で実技講座が受けられます。
きついという要素は知識や技術の習得である程度緩和できることです。
ほかにも夜勤や変則シフトがきついと感じる方もいると思いますが、それは介護に限ったことではなく仕事をするうえで最低限受け入れなくてはいけないといった範囲ではないでしょうか。
要介護度の高い利用者様の介護では、トイレ介助や排泄介助があります。たしかに他者の排泄物を処理するのは慣れないうちは汚く感じるし、それこそきついと感じるかもしれません。
しかしグローブや清拭タオルなどの必要物品や設備が整っているので、慣れてしまえば汚れずに手際よく介助できるようになります。
やる前から必要以上に嫌悪感を持つ必要はありません、やってみれば案外こんなものかといった感じですよ。
危険に関しては主に身体介護時に誤って事故が起きるケースです。これも適切な知識・介助技術でカバーできることなので、やる前から必要以上に不安に感じることはないです。
転倒リスクの高い利用者様の所在確認や、環境整備など危険を減らすコツはあるので学んでいけば解消できます。
給料に関してはほかの業界の平均年収と比べたしかに低いです。しかし今までは上手く稼げていた業種や事業も、現在の不景気のようにいつ不況に陥るか分からないものです。
一方で介護職は不景気のなかでも安定している強さがあるのは魅力の一つではないでしょうか。いったん不況時代を介護職で乗り切り、景気が快復してきたら元の業界復帰を検討するというのも一手です。
不安を抱えたまま働くか、需要のある介護職で働くか天秤にかけて考えてみる
業績悪化・リストラなどの不安がある業界
冒頭文でも触れましたがサービスの収益低下やリストラなどの失業リスクを受けている業界は多岐にわたります。
生活関連では飲食サービス業、宿泊業、観光・旅行業、理美容、洗濯行、冠婚葬祭業。
娯楽関連では映画館や劇場、プロスポーツなどの興行、フィットネスクラブやスポーツ施設、遊園地・テーマパークなどなど数え上げたらきりがない程です…
このご時世で必要最低限の出費に抑え、買い控え傾向にあるためアパレルなどの小売業も低迷していますね。
不景気にならず強い業界
逆に不景気にならず伸びている業種もあります。
衣料・衛生用品業界(マスクや消毒用品など)、IT業界(テレワーク関連サービスや商品など、物流業(ネット通販需要拡大)、在宅需要関連のサービスや娯楽など。
介護業界も今のところ需要がなくなることは考えられないので強いといえます。介護職員には不景気が影響しての失業者はほとんどないです。
介護業界はサービス利用者数に対しての従事者数が全然不足していることと、介護サービスなしでは生活がままならない人が多いという点で需要が高く求人数も多くあります。
「食いっぱぐれがない」ことはその業界・業種で働くか決める際に重要です。
不景気に弱い今の仕事と不景気に強い介護職、どちらを選択するか
介護職は色々大変と耳にすることがあると思います。実際そうですし、逆にいい面もあります。ものごとの悪い部分は大きくクローズアップされて、いい部分は見落としがちです。
仕事が楽じゃないのはどの業界・業種でも同じですよね。今までの仕事が楽だったと思いますか?
苦労やストレスの対価として給料をもらうのはどの仕事だって共通です。介護職でもそれ以外の仕事でも、これから未経験で転職するなら不安に感じるのも同じ。
なら「不景気に強い」「幅広い年齢層が働ける」といった強みのある介護職を選ぶのも悪くない選択肢だと筆者(経験者)は思います。
さんざん迷ってたけど、初めてみたら意外に自分に合ってるかも?ってこともよくあります。
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他業種からの転職を支援する制度を活用しよう
他業種から介護職・福祉分野へ転職する方を支援する制度があることをご存じですか?。条件を満すことで最大20万円を無利子で貸し付けしてもらえます。
- 他業種から転職して新たに介護職として働き始める人が対象
- 他にも無職の方・介護の資格を持っていない方の対象
- 対象者に「就職支援金」として1回を限度に最大20万円を貸し付けし、2年間勤務継続すれば返済を全額免除する
- 厚労省の指定する職業訓練を修了し、継続的な就業する
職業訓練に関しては、公的職業訓練機関において初任者研修や実務者研修を修了した方が対象になります。
失業して他業種から介護職に転職するならぜひ利用したい支援制度です。最大20万円を準備金として使えるか使えないかでは大きな差ですよね。
初めから介護職にやりがいを感じなくてもOK
介護職は福祉分野ということから
- 「人を支えるために働く人が多い」
- 「福祉の精神性にやりがいを持っている」
といったイメージがあり、自分には向いてないんじゃないかと感じている方も多いのではないでしょうか?しかし心配無用です。
実際にそういったジャンルの仕事ですし、人の支えになることにやりがいを持って働いている職員もいます。一方で「介護職にやりがいは感じてないけど、仕事として割り切って働いている」人もいます。
むしろそういったスタンスの介護士は多くいます。個人的にはそれが良いとは思いませんが、悪いとも思いません。なぜなら働き始める前からやりがいを感じている人なんてほとんどいないからです。
「介護職だからやりがいを持って働く」「介護職だから福祉の精神を持って働く」のではなく、働いて経験を積んでいく過程で自然とやりがいを感じるものです。
たいした経験も積んでないうちから知識だけで介護職のやりがいを語る人はたいてい説得力がないし薄っぺらいですから。
話が少しそれましたが要はやりがいや福祉の精神性は初めから持ってなくて当然、続けていくうちに付いてくるもの。ですので転職前から心配する必要はないということです。
介護職をするなら知っておくべきこと
介護職は人対人の仕事なので、誰でもできるようで簡単ではないです。ネットなどで見聞きした介護職の悪い部分を鵜吞みにして介護の仕事を下に見たり、嫌々ながら介護職を始めるならおすすめできません。
初めからやりがいを持っている必要はないです。しかしやるからには自分で選んだ仕事に誇りが持てるように学ぶ姿勢と、自分の介護が介護サービス利用者の安全に関わる仕事という意識は持っておくことが重要です。
そこさえ押さえておけば後は走りながら経験を積んでいくのみです。介護職という新たなスタートを切るあなたを応援しています。