介護業界は他の業界に比べ、幅広い年齢層が一緒に働くことが多いです。
年齢差からくるギャップは学校や習い事、そして職場など日常の様々な場面で感じるものですよね。
このことを「ジェネレーションギャップ」といい、世代による
- 文化
- 価値観
- 考え方
の相違を意味します。つまり世代間で生じるずれ(ギャップ)という事です。
この「ジェネレーションギャップ」は楽しくコミュニケーションを取る際のきっかけにもできますが、職場における感覚のずれは人間関係の摩擦を起こしたり悩みの原因となることがあります。
介護の職場で感じるジェネレーションギャップあるあるは、
- 自分よりだいぶ若い上司
- 敬語を使えない若い新人
- 職場の重鎮っぽい雰囲気のお局さま職員
といったところでしょうか?
筆者も過去の職場でジェネレーションギャップで苦労した経験があります。
介護職の世代のずれによる悩みとその対策について解説します。介護職におけるジェネレーションギャップで悩んでいるあなたはぜひ参考にしてください。
介護職でみる同僚や上司とのジェネレーションギャップ
年下の上司
お局的古株職員(パートの場合もあり)
社会常識知らない若手職員
年齢差や世代の違いで相手を判断するのではなく、本質を見ることが大事
たしかに同じ職場で、例えば20代前半のリーダーと40代の介護士に上下関係があるというのはなかなか難しいとは思います。他業種では年功序列な上下関係が多いですから。
しかし介護業界では若くして役職がつくというのはよくある話です。となると介護職をしている以上、この年齢差問題を乗りこなしていく術を身に付けるのが得策です。
年下の、自分の息子でもおかしくない年齢の上司に厳しく指摘・指導されるのはカチンとくることもあるでしょう。「何をこの上から目線で若造が…」と。
しかしここで相手の目線で考えてみることが重要です。
リーダーという立場を任されている以上、チーム(ユニットなど)を統率しより良い方向に導くのは当然のことですよね?20代前半の彼はそれが求められる立場を引き受け、他の職員よりも責任を背負って真っ当に役割を果たしているだけのこと。
若いから生意気に見えるかもしれませんが、やってることは年相応のベテランのリーダーと変わりありません。。真剣に自分の立場に向き合って仕事している人に、若いも年配も関係なしです。
同じ介護職としてリスペクト(敬意を払うこと)を忘れずに接すれば、「こんな年下に偉そうに言われたくない」など世代間の摩擦は生じないはずです。世代の差は関係なく敬意をもって仕事仲間と接することが大事です。
意図せず相手の自尊心を傷つけてしまう言葉遣い
職場での言葉遣いには注意が必要です。自分にそのつもりはなくても相手の自尊心を傷つけることがあるからです。
例えば他の介護職員の名前を呼ぶ際さん付けで呼ばず、「~くん、~ちゃん」で呼ぶ。これは介護の現場でも多いですが、一般企業でもよくあるのではないでしょうか。
たとえ相手が若くても介護職として働く一社会人という事を忘れてはいけません。職場での付き合いである以上年齢差は関係なく、相手に対して最低限の敬意を払うことは社会人必須のマナー。
井の中の蛙大海を知らずで、介護職という枠やあなたの職場の中のローカルルール(特定の環境だけで通用するルール)にとらわれず、社会人として通用するマナーや配慮を心がけましょう。「周りがそうだから」に流されないように。
転職した時に「前の職場ではこれで通ってたのに…」と他の環境では通用しなくなってしまわないように社会人として適切な言葉遣いやマナーを身に付けておきましょう。
マイナスのストロークについて
マイナスのストロークとは、心理学でいう相手の気持ちをネガティブにさせる言動。
嫌味や悪口・陰口・イライラを他人にぶつけることで、不安な気持ちを解消したり気持ちよくなりたいようなメイワクな人が一定数存在します。(というか実際わんさか潜在してる印象。経験談)
このように他人に嫌味や怒りを他人にぶつけてくる人は、心の中に不安や悩みを抱えていることが多いのです。やり場のない不安をまったく関係のない相手に八つ当たりして、一時の優越感を得ている訳ですね。昨今問題になっているSNSで赤の他人を誹謗中傷してる人達もこの類。
周囲から評価されている人や精神的に満たされている人は、むやみに他人に攻撃的になるようなことはしません。そういう人が役職を持ったり古株になり発言権を得ると、職場で下の立場の人は人間関係で苦労してしまうでしょう。
職場での立場の違いを利用した指導やアドバイスの皮をかぶった自己満足、自分が気持ちよくなりたいためのパフォーマンスもたくさん隠れています。このように職場で立場や人間関係を利用した「マイナスのストローク」をする人物には注意が必要です。
不安を抱える人ほど、他人に攻撃的。
他人を攻撃して気持ちよくなりたいメイワクな人への対処法
職場の人間関係や立場を利用し、他人を攻撃して不安な気持ちを解消したり気持ちよくなりたいような人への対処法について。
こういう理不尽な相手に対して有効なのは、まず相手のことを知ることです。
「なんだか(理由が)分からんけど嫌がらせしてくる」状態だとその人との人間関係の問題は解決することはありません。相手を知るというのは「相手がどんな不安を抱えて」いるかを知ること。
相手の事情や気持ちを理解することで理不尽さは和らぐし、どう接すればストレスがかからないのか対策が見えてきます。
介護職でみるジェネレーションギャップによる人間関係の悩みに当てはめて考えてみましょう。例えば「当たりの強い年の若い上司」や、「横柄な態度の先輩職員」はどういった不安を抱えているのか。
彼らが抱えている不安とは介護の職場だと、
- 「リーダーだけど若いからなめられてるんじゃないか…?」
- 「私の方が年上だし古株なのに認められてない。許せない!」
こういった不安を感じ、そのストレス解消のために他人に八つ当たりしている訳です。
この相手の背景が見えてくると、今までは理由が分からずただの理不尽な暴君にしか見えなかったのが「この人は悩みを抱えて大変なんだな、かわいそうな人だな」と見方を変えれば少しは相手を落ち着いた視点で見ることができるはず。
また相手の抱えた不安が分かれば、それに合わせた寄り添い方もできます。
例えば相手が年の若いリーダーなり主任なら、「自分の培ってきた経験から見ても、若いのに介護職としてしっかりと勉強されてて尊敬できます」など実力がともなっている事を褒めてあげる。
例では「若いから舐められてるんじゃないか」と気にしているので、そこに対して「そんなことないんですよ」という気持ちを言葉に出して伝えていく事で、例で挙げた若い上司とあなたの人間関係は改善していくはずです。
- 不安な人ほど攻撃的になる
- ジェネレーションギャップが不安の原因になっていることもある
- 相手の抱えた不安を理解することで、それに合わせた寄り添い方も見えてくる
- 相手の不安に理解を示してコミュニケーションを取っていくことで、人間関係の改善も望める
しかし相手の抱えた不安が理解できたからと言って、みんながみんな自分に攻撃的な人物を簡単に許せるものではないですよね?それにこちらが大人の対応で寄り添ったコミュニケーションを図っても態度が改善されない相手もいるでしょう。
しかし心の中で許せなくても適切な距離を置くことはできます。
無理に寄り添わず、相手の抱えてる不安を認識して淡々と受け流す。
こうしたマイナスのストローク=自己満足のための攻撃を、無理して受けとめる必要はありません。必要以上に怖がったり謝ったりすると、歪んだ心を持った相手を喜ばせてしまうだけです。過剰に反応せず淡々と受け流してしまうのが効果的です。
他人の自己満足の攻撃に付き合ってあなたが疲れてしまうのはもったいないことです。あなたのための人生を生きる人になりましょう。
原因が自分にある場合は素直に反省する
もちろんミスを指摘された理由が本当にあなたの行動に原因があった場合は、変なプライドを出さず素直に反省し繰り返さないようにしていく。ここをはき違えて何でもかんでも相手手の意見を聞かないというのは職場では絶対にNG。
特に介護職は個人プレーではなく、チームで連携していく仕事。
間違いは素直に認めて、次から言わせないように改善すればいいことです。
みんなの職場のジェネレーションギャップ集
職場の介護士見習い(18歳 ♂)
年賀状って書くんですか?
私)何年書いてないかねぇ?
♂)ボク、年賀状もらった事も
書いたこともないです(^^)
私)【プリントごっこ】って
知ってる?
♂)(´・ω・`)?#Google先生に聞いてね#ジェネレーションギャップ— nonna (@nonna07727261) November 2, 2020
年賀状ですら過去の産物になりつつあるのか…
プリントゴッコ懐かしい!一回毎に電球消費してましたね。
母が入居しているホームの、20代後半の介護士さんに「数え年って何ですか?」と尋ねられ、ジェネレーションギャップを感じました(^^;)
— Kiyoko (@kiyo1136) August 8, 2019
私も30代半ばですが「それなんですか?」って聞き返しちゃうかも汗
便器内の水で雑巾洗って絞ってトイレ掃除する介護士のおばちゃんにはジェネレーションギャップ感じて衝撃だったな。
— jgp (@s5g4_jgp) November 26, 2017
これもジェネレーションギャップとは違う気がしますが…
同じ家に住む親子でもジェネレーションギャップあるせいで注意しても聞かんし意見が伝わらないらしくて、これより大変なはずの介護士さんとかもう精神修行感ハンパないだろうから、メンタル手当てみたいなの出してあげないと介護士さん病むよなって思うんだ。
— 由岐@1/20「炎の治癒術師」電子書籍販売中! (@mariasapri) March 25, 2016
介護士の大変さに理解を示してくださってて嬉しいですね。
メンタル手当ぜひお願いします。
もっとも大事なのはあなたや上司の年齢などではなく、「利用者様の安全と尊厳を守る事」
「利用者様の生活の安全と尊厳を守る事」これが介護職の大前提です。
そのために介護技術の勉強・向上、単なる業務ではなく利用者様の立場に寄り添い支えることが大切。他のこと(ジェネレーションギャップやちっぽけなプライド)にとらわれてしまい、これらを忘れてしまうようなら介護の仕事は向いてないとも言えます。
介護職としてもっとも大事なことを忘れてはいけません。
介護職はある種独特の雰囲気があることを理解しておく
介護業界は転職が当たり前の世界。
その組織(施設など職場)としての上下関係で成り立っているだけではないです。
今の職場の勤続年数、業界で働いてきた歴、資格の有無、前職での肩書など様々な要素が混在しているため上下関係が他の業界よりも複雑。
これは介護業界が慢性的な人手不足に陥っているという背景があります。逆に考えると肌に合わなければ辞めて転職してリスタートを切りやすい。他の業界なら転職のハードルは高く、よほどの事情がない限りは転職という切り札はきれません。
ジェネレーションギャップについても一つの要素にすぎなくて、世代間の感覚のずれが摩擦にもなりやすいです。しかし捉え方を変えると、他の業界では関わることのできない幅広い世代の人達と一緒に働くのは自分を成長させるいい機会にもなります。
相手との価値観の違いは、同世代とだけ付き合っていてはなかなか得られない深みある味わい深い人間関係の機会を与えてくれます。世代間ギャップを敬遠せずにポジティブにとらえていきましょう。
その上でどうしてもその人間関係が我慢ならないストレスとなるなら無理は禁物です。
人には歩み寄ってもどうにもならないない相性というのもあります。その場合は転職を選択肢に入れて新たな一歩を踏み出しましょう。