厚生労働省が令和3年12月8日に「介護職員の賃上げ」の続報、現時点での賃上げに関する概要を発表しました。
本記事では要点を分かりやすくピックアップしてまとめています。
結論から言うと分配方法が前回の処遇改善手当と同じなので「誰が賃上げ対象になるか事業所次第」になり、それにより給料アップの対象にならない方も出てきてしまうことが予想されます。
現在介護職として働いている方もこれから介護職を検討されている方も、大事な給料に関する情報なのでチェックしておきましょう。
介護職員9,000円賃上げに関する続報(概要)
引用元:厚生労働省HP
今回の賃上げではすべての事業所が対象ではないことが分かりました。対象となる事業所、ならない事業所など「介護職員の賃上げ」に関するポイントを見ていきましょう。
対象期間
今回の施策では令和4年2月~9月の賃金引き上げ分が対象。
それ以降も介護職員の賃金アップの効果が継続される取り組みを行うとのことです。
分配方法=前回の処遇改善加算と同じ
対象となる介護事業所の介護職員(常勤換算)で支給→施設の常勤職員1人につき、月額平均9,000円の賃金アップに相当する額が支給されます。
これは前回の処遇改善手当の分配方法と同じく、
- どの職員を賃金アップさせるか
- 賃金アップさせないか
など事業所次第になります。
これは事業所によっては介護職員の賃金アップの名目で国から支給された予算が、「介護職員に振り分けられない」ケースもあるということです。
事業所次第なので、常勤職員全員にそのまま支給する施設もあれば、9000円を正社員以外にもまんべんなく振り分けるといったケースも考えられます(例として正社員は6,000円加算、パートは3,000円加算など)。
事業所次第で賃金アップの恩恵を「受けられない人・受けられる人」が出てきてしまうのは、残念な分配方法といえます。
- 介護職員の収入を3%ほど(月額9,000円)引き上げるための費用
- 令和4年2月~9月までの期間、138万人(常勤換算)の介護職員の賃金アップを行うことを前提
これらが目的なら、事業所判断でもらえない人が出てしまう分配方法を取るべきではなかったですね。分配方法の改善に関しても今後改善を期待しましょう。
取得要件
介護職員の賃上げの補助金を取得する要件を確認していきましょう。
賃上げ対象事業所
今回賃金アップの補助金を取得可能な事業所は、
介護職員処遇改善加算Ⅰ~のいずれかを取得している事業所(現行の処遇改善加算の対象サービス事業所)
対象職種
- 介護職員が対象
- 介護職員以外の職種(施設ケアマネなど)…事業所の判断で、介護職員以外の職種の処遇改善にも分配できる
対象外の事業所
- 居宅介護支援(ケアマネ)
- 介護予防支援(包括支援センター)
- 居宅療養管理指導
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 福祉用具貸与・販売
賃上げの補助金を取得可能な事業所は、介護職員処遇改善加算Ⅰ~のいずれかを取得している事業所です。この処遇改善加算が算定できない居宅介護支援など上記のサービスは対象外となります。
ちなみに特養など施設のケアマネは対象。ただし事業所判断なので賃上げされない場合はあります。
補助金の交付方法
対象事業所が都道府県に対し申請(令和4年2月~9月まで、それ以降の交付方法は未定)。
令和4年10月以降の「賃上げ」動向に期待
今回の介護職員の賃上げ続報のポイントをまとめると…
- 補助金の分配方法は前回の処遇改善加算と同じ=事業所次第で賃上げ対象にならない職員も出てきてしまう可能性あり。
- 今回の施策は令和4年2月~9月の賃金引き上げ分が対象。それ以降も介護職員の賃金アップの効果が継続される取り組みを行うとのこと。
- 賃上げ対象は、介護職員処遇改善加算Ⅰ~のいずれかを取得している事業所。居宅介護のケアマネや訪問看護などは対象外に。
今回の施策では令和4年2月~9月の賃金引き上げ分が対象となっています。それ以降も介護職員の賃金アップの効果が継続される取り組みを行うとのことです。
今回の賃上げについてはすべての介護職員が報われる内容ではなかったですが、賃金アップの施策は継続して取り組む意向であることには期待が持てます。
令和4年10月以降の「介護職の賃金アップ」に関する国の動向に注目です。