介護業界の男女比率は女性が多くの割合を占めています。しかし男性介護職員の割合も徐々に増加傾向にあります。
多くの介護現場では男性の介護士が少ない状況なので、必要とされており業界にとって男性は需要が高い存在といえます。
「令和元年度介護労働実態調査」によると介護職員の男女比は、男性22.7%,女性70.1%となっています。女性職員が7割近くを占めており、男性介護職は増加傾向とはいえまだ少数派ですね。
- 男性の介護職員が少ないのは介護業界では活躍しづらいから?
- 女性が多い職場で男性介護職は働きづらくないの?
男性はこんな不安を感じてしまう方も少なくないと思います。
結論から言うと男性介護職員は職場で重宝されるし、働きづらいという事もありません。
それどころか男性だからこそ活躍できることも多くあります。
女性が多い介護の職場でも男性は活躍できる
身体介助=力仕事ではないが、力があるに越したことはない
介護士の仕事は3Kのうちの一つ「キツい」と言われがちですが、介護職=力仕事という訳ではありません。だからこそ女性が多く活躍できている仕事なのです。
しかし利用者様の体格が大きい場合があることを想定すると、介助者に力があった方が身体介助がより安全に行えるのは事実です。
私の実体験を例に挙げると、以前介助した事のある男性の利用者様で身長170㎝前半で体重65㎏程のわりと大柄な方がいました。
その方は片麻痺で自身で立ち上がりや杖歩行ができたのですが、ある明け方に転倒してしまい介助で起こそうとしたのですが私一人では到底無理な重さでした。
男性職員と2人介助で何とかベッドに端座位になってもらい幸い大きな外傷はありませんでしたが…(もちろん事故報告書を書きました)
170㎝65㎏程の利用者様でも介助が大変でしたがもっと大柄な方もいらっしゃるでしょうし、将来的には体格の大きな利用者様が今よりも増えるであろう事を考慮するとやはり男性介護職の需要は大きいですよね。
夜勤中に起きた転倒事故なので施設の人員状況によってはその日の夜勤者が小柄な女性しかいない場合もある訳なので、そういった場面を想定すると男性介護士が増えてくれる事が介護業界全体にとってプラスになるはずです。
介助がスムーズに行えることは、利用者様の安全を守ることにつながるのですから。
また特別養護老人ホームでは要介護度3以上の比較的介助量の多い利用者様が多いです(寝たきりで全介助の方や片麻痺の方など)。他にも老健や有料老人ホーム、サ高住などでも特養待ちの介助量の高い利用者様が増えてきているので、介護業界にとって男性の体格や力は必要性が高いと言えます。
女性が多い職場で男性は働きづらくないの?
仮に働きづらい事があったとしても男性だからという理由ではないはずです。
人間関係が上手くいかず働きづらくなるのは何処のどの業種の職場にもある避けては通れないもの。
「女性の割合が多く、あなたが男性だから」働きづらいと考えるのではなく、女性が多くてもあくまで仕事上の付き合いと割り切り適度な距離感で、適度なコミュニケーションを取ることをしていけば問題なく働けます。
女性が多かろうが男性ばかりだろうが介護職以外の仕事だろうが、
- 仕事上の適度な距離感
- 適度なコミュニケーションをはかる
- 一緒に働く職員を敵に回さないよう最低限の礼儀や心配りを忘れない
ことが重要です。
また筆者が介護職員として働いていた特別養護老人ホームでも、全体を通して見ればやはり女性が多数派でしたが配属されたユニット単位で見ると男女比は半々。
(1ユニット約10名の利用者様に対し、介護士は約4・5名ほど)
施設全体では女性の割合が多くても、実際関わるのは配属されたユニットと姉妹ユニットくらいのものなので、ユニットも男女比がなるべく均等に人員配置されているため女性が多いとはさほど感じずに働けていました。
施設全体では女性の割合が多くても、配属先(ユニットなど)の男女比は出来るだけ均等に配置されていることが多いので実際働くとあまり気にならないといったケースも多いのではないでしょうか。
男性介護職が多い職場のメリット
より安全に介助を行える
男性の介護職の方が多い職場のメリットとして、体格や力を活かした介助で大柄な利用者様に対してもより安全に介助を行えることが挙げられます。
身体介助は力で行うものではないとはいえ、対象が大きかったり重い場合は介助者に力のある方がよりスムーズかつ安全に介助できるものです。
安全に介助を行える以外にも、利用者様によっては「同性に介助してもらう方がいい」といった場合や、「男性の方が優しい」と言ってもらえることも少なくないです。
このように男性の介護職だからこそ重宝されることもありメリットと言えるでしょう。
ただし逆に女性の介助者の方がいい、男性に介助されるのに抵抗があるという利用者様もいらっしゃるので職場の男女比がバランスよく配置されることが理想的ですね。
男性は職場の定着率が高い
家族を持つ男性介護士の多くは「家計を支えるため」に正社員として働くケースが多い。
そのため職場への定着率が高いので、すぐ辞めない人材として重宝されます。
短期間で辞められると次の求人が埋まるまでの間、人手不足になり他の職員たちの負担が増してしまいます。
また新たに採用しても業務を覚えてもらう期間や教えるための労力も無駄になってしまうため、雇う側としては長く職場に定着してもらえると助かる訳です。
もちろん女性も共働きや独り身でがっつり働く方も少なくないですが、女性にとって出産・育児は人生の一大イベントです。
産休や育休を取り、その後もお子さんの成長を第一に考え短時間勤務に切り替えたり職場を離れることも少なくありません。
一方で男性介護職はそんな状況のパートナーを支えるため長い期間同じ職場で働いてもらいやすいといえるので、男性を積極的に採用したいという施設は多いでしょう。
また施設からすると長期的に働いてくれる職員にはキャリアアップする機会も増えるため、将来的に管理職として職場をリードしてくれる人材を確保するチャンスでもあります。
男性介護職員が多いとハラスメントへの抑止力にもなる
介護の職場では普段の生活や身体介助の際などに、利用者様からのさまざまなハラスメントを受けてしまう場合があります。
利用者様の中には認知症の影響で感情コントロールが上手くできず、暴言・暴力やセクハラをしてしまう方もいます(認知症にかぎらず高次脳機能障害だったり、性格的に荒っぽい方の場合もあり)。
そんな時に男性介護士がいれば対応を代わってもらうことでトラブルを回避できて心強いですよね。トラブルを回避することで職員の安全を守る事と、利用者様の尊厳を傷つけない事の両方に効果があります。
他にも単純に女性から介助されることが苦手な利用者様がいるなら、利用者様にとっても安心してもらえますね。もちろん逆パターンで男性に介助されたくない方もいて、そんな時には協力して利用者様が生活しやすい環境を提供できます。
女性が多い職場での注意点
職場恋愛に注意!公私混同しないこと
介護の職場では職場恋愛で結ばれた話もちらほら耳にしますが、そもそも職場に出会いを求めるのはトラブルの元です。
職場恋愛で成就するのはあくまで結果論で、一緒に働く過程で惹かれあったのなら仕方ないですが、基本的には利用者様の生活を支えるという本来の仕事に集中しましょう。
魅力的な異性の職員がいたからといって相手もあなたに興味があるとは限りません。むしろ迷惑な場合もあります。
まったく興味のない人から好意を寄せられ、拒否すれば働きづらくなるなるなんて自分に置き換えて考えたら迷惑以外の何物でもないですよね?
みんな恋愛をしに来てる訳じゃなく、仕事をしに来ているので公私混同は禁物です。
また、ひとたび女性職員を敵に回すとその相手のみならず、一致団結した女性陣をもれなく敵に回してしまいます。そんな人間関係のなかではまともに働き続けるのは難しいです。
異性が多いという事を変に意識せずに仕事と割り切って適度な距離感をキープすることが大事ですよ。
逆にモテた場合も注意が必要です。職場恋愛というのは上手くいってる時は楽しいかもしれませんが、冷めるとトラブルの原因にもなりやすいです。
あくまで仕事優先で公私混同しないように。職場にいる間はまっとうな介護職を演じる気持ちで、普段と切り替えると割り切れますのでおすすめします。
女性優位の雰囲気が確立されてる職場では人間関係に要注意!
女性が多いと職場が女性優位の雰囲気になっている場合もあります。
介護職でよく聞く「お局様」が主体となってそういった雰囲気を醸し出します。
お局的な女性職員は一般企業にもよくいるとは思いますが、介護業界では切っても切り離せない定番キャラにして強敵でもあるので絶対に戦ってはいけません。
一人敵に回すともれなく職場内の横のつながりお局軍団もセットで敵になり勝ち目は限りなくゼロになります。
特徴としては
- 口喧嘩が非常に強い
- 敵にすると結束して1対大勢で孤立させられてしまう
- 執念深いので謝っても敵対が続いてしまう
- まとめると非常に手強いので絶対に敵に回してはいけない
お局様と人間関係トラブルになって悩んだり、転職を余儀なくされたという介護職員は結構いるのではないでしょうか。
関わりたくないのは山々ですが関わらざるを得ない職場に配置された場合、出来れば味方につけるような関わり方を意識するといいです。
普段からのコミュニケーションの積み重ねで信頼を得ていきましょう。
媚びるのが嫌いな方も多いと思いますが、これも職場の人間関係を潤滑にする仕事の一環と割り切りましょう。普段からのこういった行動がいつかあなたの助けになるはずです。
まだまだ女性が多い介護業界だけど、男性も増えてきている
男性介護職がいるとより安全に介助を行える場合があり助かる
施設も男女比を整えたいと考えており歓迎されやすい
女性が多い職場では人間関係トラブルになりやすいので、関わり方に普段から注意しておく
男性の介護職は全体で見ればまだ少ないですが、需要は大きくあります。
高齢化が進んでいくため介護業界は今後もなくてはならない絶対に必要な職業です。
男性介護職員は利用者様と職場の仲間、両方から頼られる人材として重宝されます。
需要ある業界で頼りにされるという事=やりがいを持って長く活躍できる仕事ということ。
経験を積んでいけばキャリアアップも見えてきて更なる活躍にも期待できます。
介護業界に少しでも興味を持った男性はこの機会に介護職へのチャレンジをしてみてください!
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